「外国人従業員比率10%」を目指す飲食業界のトレンドセッターが伝えたいこと - GPlusMedia

「外国人従業員比率10%」を目指す飲食業界のトレンドセッターが伝えたいこと

株式会社トランジットジェネラルオフィスのインターナショナルサポート マネージャー の藤崎 由佳さんに外国人採用を始めた経緯と成功のポイントについて伺いました。

株式会社トランジットジェネラルオフィス
オペレーション事業本部 コンサルティング&サポート事業部
インターナショナルサポート
マネージャー 藤崎 由佳

外国人採用の背景について教えてください。

外国人スタッフの採用は3年前から本格的に始めています。当初は洗い場など、比較的コミュニケーションが少ない職種の採用がメインでしたが、今ではサービススタッフやキッチンスタッフも募集・採用しています。

当社では、イタリア料理やギリシャ料理などさまざまな業態の店舗を展開していくなかで、飲食店の雰囲気作り、外国人旅行者、日本に住む外国人の方々に対応するための人材が必要になり、採用枠を広げました。

外国人を採用される際に気を付けていらっしゃることはありますか? 

これまで外国人を採用した経験が少なく知見がなかったため、例えば、飲食店で働けるビザかどうか等、不安な点はありました。その都度、管理部や社労士の方と相談しながら、安心して働いていただける環境づくりに努めています。

外国人採用の際に面接等で重視されていることは何ですか?

外国人にとって日本で仕事をすることは、とても勇気がいることです。その意欲に対しできる限りチャンスを提供できるように努めています。飲食業経験の有無よりも、仕事を学ぶ姿勢や日本の習慣について学んでいきたいというモチベーションが有るか無いかを見極めるようにしていますね。本人の自主性の他に、やる気や人柄も見ています。特に接客を行うサービススタッフの場合はこれらの点が重要になってきます。

一方、キッチンスタッフの場合は調理技術や勤務経験を重視しています。日本語が必要かどうかは、店舗にもよっても異なりますが、必須ではありません。日本語があまり話せない場合、本人が居づらくならないよう、英語の話せるスタッフのいる店舗に配置するなどの配慮と相性を考えて配属しています。

外国人を採用されてよかったことは何ですか?

外国人スタッフが加わることで、お店の雰囲気や空間がより洗練され、日本人スタッフのモチベーションが上がりました。また、新しいアイデアや意見なども出てくることで職場も活性化されました。外国人スタッフはサービスを提供していく上で、大変貴重な存在です。店舗に外国人スタッフが一人いることで、常連顧客の獲得につながり、口コミを広げ、結果売上や店舗の成長には不可欠な存在なのです。

外国人を採用されて困ったことはありましたか?

あります。例えば、入社時に確認しなければいけない書類が多く、他言葉でのフォーマットがない場合は手続きに時間を要します。言葉がうまく通じず、ミスコミュニケーションが生まれてしまったり…。また、宗教への理解も必要ですね。

これらは、外国人スタッフと共に働くうえで乗り越えなければならない課題です。お互いに尊重できる組織に変えていく必要があります。そして、外国人スタッフだけではなく、すべてのスタッフが働きやすい環境づくりを整えていかねばなりません。

今後の展開について 

当社は2020年の東京オリンピックを一つの指標として、雇用を広げていきます。現在、テンプスタッフを含めた従業員数は2,400人いますが、外国人比率はそのうちの6%と少なく、社員に限っていえば、1.5%に留まっています。年内に比率が10%となることを目指し、採用に取り組んでいます。現在、私を含め3名の多国籍なメンバーで構成された、インターナショナルサポートチームが立ち上がり、外国人採用の拡大を測ることを優先的に進めています。外国人従業員を増やし、国際的な対応とサービスを提供できる人材を育て、顧客を獲得するという会社の経営目標を推進していきたいと思っています。

現在、「直営」「運営受託」「海外ブランドのライセンス」という3つの形態で店舗を展開し、海外ブランドのライセンスに特に力を入れており、世界的にはスタンダードでも、日本に未進出の業態を展開していく予定です。その展開の中で、外国人オーナーや、外国人のお客様への対応が重要ですので、外国人スタッフの雇用がさらに必要になります。4月にオープンするイタリアンレストランに関しては、ブランドオーナーの依頼でスタッフの半分はイタリア語か英語が話せる外国人を採用する予定です。

外国人採用を検討している企業さまにアドバイスやメッセージをお願いします。

当社では日本人の従業員の労働力不足を補うために、外国人を雇うという姿勢はとっていません。外国人スタッフから多くのことを学び、企業として国際化し、成長していくことを目的にしています。メリット・デメリット双方がありますが、企業として生き残っていくためには必要なことです。面倒に思わずにチャレンジしていただきたいです。

最初はわからないことや戸惑うこともあると思います。そんな時は、他社の方に聞いてみたり、セミナーや意見交換会に参加してみたりするなど情報収集から始めるとよいと思います。私自身、カナダでのワーキングホリデー中に仕事探しに苦労した経験があり、雇ってくださった方に対する感謝の気持ちを今でも忘れていません。そして、その気持ちがあるからこそ、一人でも多くの日本を好きで、挑戦の気持ち溢れる外国人の雇用を広げていきたいと思っています。